2007年02月01日
コスト削減したい!:不適合の再発を本当に徹底してみる
ISO認証企業の要望である「コスト削減」の方法として、「規格要求事項の捉えすぎ」
を改善することでコスト削減ができることを前回お話してきました。
ただ、ISO認証企業において実施できるコスト削減の方法としては、これ以外にも
たくさん存在します。
その中でも、今回は「不適合の再発防止の活動の徹底」に関して分かりやすい例を
紹介することにします。
長野県の建設会社のF社では、通常の土木工事ではなく、建設重機を他社よりも
多く活用する少し専門的な特殊工事を専門としていました。
F社では、建設重機が30台近く保有されていたのですが、現場で作業する際、
故障が発生したり、作動不良が発生したりといった機器の故障が、毎月最低でも
2件〜3件の程度で発生していたようです。
F社はISO9001の導入に際して、工事日報による日々管理方法を導入されていた
ため、日常業務をうまく活用したシステムが作られていました。現場においても、
ISO9001を導入したことで、なんらかのコスト負担が目に見えて発生していると
いう状態ではありませんでした。
しかし、ISO9001の導入において目に見える効果は出ていませんでした。
先ほど説明した建設重機の故障に伴う、修理や工期の延長等のコストが、
年間で5,000万円以上掛かっており、社長はISO9001の導入において、これらの
コストが低減されることを一つの目的とされていたようです。
そこで、これらのコストを下げることを目的に、少しシステムを見直すことになりました。
まず、コストが掛かっているのは、建設重機の故障による修理が8割。そして
残りの2割が、それが影響する工期の延長や建設重機のリース(使えなくなった
機器の代替機)等がそれに当ります。つまり、故障を減らすことができれば
圧倒的にコストが軽減できるという分かりやすい状態でした。
工事部の部長や技術部長等が集まり、故障が発生する原因を追究しました。
少し特殊な危機でもあるため、力量が低い作業員が扱うことはありません。
人的な要素はあまり考えられませんでした。そして故障が発生している
タイミングを調べてみると、そのタイミングは、どうやら作業開始時に集まって
いることが分かりました。
仕事の発生状況も合わせて分析したところ、使用される機器は平均して年に
約1回。よく使うものでも3回はないということで、通常使われない際は
保管庫に保管されています。そして保管状態は決して適切な状態ではなく、
ホコリがかぶっている機器もありました。
つまり、使用頻度が頻繁でないため、実際に使用するタイミングで、なんらかの
作動上のトラブルが起こっているということでした。(特に動力関係が
問題のようでした。)
そこで、これら建設重機の使用頻度を基に、定期的な機器チェックのルール
を作りました。使用頻度の高いものはあまりチェックせず、逆に低いものは
エンジンをかけたり、またホコリ等の定期清掃を行ったりといった簡単な
ルールです。
結果はとても分かりやすい状態でした。建設重機の故障件数が激減し、年間の
維持コストが約1,500万円まで下がることになりました。そうは言っても、定期
点検のための間接コスト(作業員の方がチェックする時間等)が増えている
ことにはなるのですが、故障が発生した際の工期延長やリース等の影響コスト
も含めると、作業員の方のチェックに関わる間接コストの方が圧倒的に
安く済むようでした。
またよい効果として、作業員の方が機器類に触れる機会が増え、教育としても
使えるということになりました。
このように、非常に分かりやすい例として、不適合の再発を抑制するだけで
コストは低減することになります。もちろんこの取組もある程度推進されて
おられる企業では当り前のことかもしれませんが、不適合や是正の活動を
最も効果がでそうな御社のコアコンピタンスの部分に焦点をあて、徹底する
ことで、より一層効果が生まれるってことはあるかもしれませんね。
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furue : 13:29 | コメント (0) | トラックバック
2007年01月30日
コスト削減したい!:規格要求事項へのやりすぎをなくす(後半)
前回、ISO認証の中小企業の最も多い要望である「コスト削減」に対して、
いろいろな方法論の中で、大阪のD社の事例を基に「規格要求事項に対
してのやりすぎ」として、外注先調査コストの削減をなくす話をしました。
今回、その続きをお話します。前回の内容はこちらで。
D社において、ISO9001認証によって年間のコストが約1,500万円近く上がって
しまったコストの中で、最もコストが掛かっていたのが、この「測定機器校正
コスト」でした。
D社では、管理対象となった監視機器や測定機器類が、合計で250個以上も
そんざいしており、まとめて校正業者に構成依頼はしているものの、この校正
費用だけでも年間で1人作業員が採用できる以上のコストは掛かっていました。
話をお聞きすると、どうやらこの校正管理に関しても、前回のブログで紹介
した「外注先調査システム」がD社に導入されたステップと同じように、ISO9001
認証まではほとんどといってもよいくらい、活動はされていませんでした。
というのも、D社の取り扱い製品の特性上、管理しておく必要性がありそうな
監視機器や測定機器の個数は多いものの、仕事の発生頻度や発生した仕事の
特性等から考えると、それら全ての監視機器や測定機器を常に使うというような
ことはなく、機器類の使用頻度や実際に使用する回数もそう多くはない状態
であったからです。
D社のそんな特性はまったく確認せず、ISO9001認証と同時に、導入時に支援
されていたコンサルタントが主導し、仕事で使う監視機器や測定機器は全て
校正管理していくというこのシステムが導入されたようです。
そこで、昨年度と2年前の仕事の発生状況を基に、これらの機器類がいつ、
どの程度実際に使われているのかを明確にし、分析することにしました。
これによって、本当に校正管理が必要な機器類を絞り込むことにしました。
それから、実際に校正する作業も、単純に校正業者委託するのではなく、
1つ標準となる標準校正の機器を用意して自社での校正管理ができるものと、
専門性をもって委託すべき業者での校正管理になるものに分類し、また
外注委託分は、3年や5年、それから関係会社全てを含めて校正を委託
する等の方法を採用し、できるだけコストを抑えて実施できるようにしました。
そしてこれにより、D社の維持コストは大幅に軽減することが出来ました。
これらは、既に取組まれている企業からすると、しごく当たり前の活動に見える
と思います。しかし、このような一般的には当たり前だと思えることが
まだまだできていない企業が多く存在しているというのが現状なのです。
また同時に、そう思っておられる御社のシステムのどこか1部分も、他社から
みたら、一般的ではなく、コストが掛かっている点はあるかもしれません。
同じ「規格要求事項に対してのやりすぎ」という切り口で、コスト削減が
できる可能性は、まだまだたくさん眠っているのです。
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furue : 18:05 | コメント (0) | トラックバック
コスト削減したい!:規格要求事項へのやりすぎをなくす(前半)
ISO認証をしている中小企業の改善コンサルティングのお手伝いをさせて頂いて
いる中で、最も多いのが、「コスト削減をしたい」というご要望です。
これは、システムを構築していくに当って、プロセスへの資源投入とその効果を
見たり、また、他のシステムのバランスから無駄を見つけて除去したりと色々な
方法があります。具体的な要素も含めると何回かにまとめなければご紹介できない
ため、今回から何回かに分けて少しずつ紹介してみようと思います。
それではまずそのコスト削減の方法として、もっとも取組からまとめていきます。
それは、企業の「規格要求事項に対してのやりすぎ」を改善することです。
大阪にD社という中小製造業があり、改善当時このD社は、ISO9001認証の認証をして
約3年ほど経っていました。
当初、このD社からはISO9001認証の移行のお話で出会ったのですが、話を聞いて
みると、ISO9001認証によって年間のコストが約1,500万円近く上がってしまっており、
移行のタイミングでこのようなコストも削減できるのかというご相談でした。
そして、実際にお手伝いが始まったタイミングで、コスト削減できそうなところが
ないかメンバーで確認するため、その費用内訳を具体的に調査してみました。
すると、審査登録コストや兼務の担当者採用を始め、確かに約1,500万円近くコスト
が増えていることがわかりました。
審査登録コストや担当者の人件費コストが中心だったため、改善のしようがないよう
に思われていたのですが、そのコストの中で2つ気になる点がありました。
それは、
「外注先調査コスト」
「測定機器校正コスト」
の2点です。話を聞くと、どちらもISO9001認証前は取組んだことがないシステム
で、認証のタイミングで、認証当時のコンサルタントからの指示に基づき、この
取組が始まったようです。
まず「外注先調査コスト」ですが、これはD社がお付き合いしている外注先や
購買先に対しての調査コストです。これは、訪問による工場検査や委託製品の
受入のためのコストではなく、「全ての購買先や外注先を年に2回ほど訪問して
外部監査を行う」という内容でした。
確かに、直接エンドユーザーと触れることとなる大手の元請企業ならそういう
監査が実施される理由もあるのかもしれません。しかし、中小企業にとって、
このようなリスクマネジメントの要素となる外部監査の導入が本当に必要なのか
どうかは、検討プロセスなしに導入されるべきではないでしょう。
トップへお話を聞くと、「ISO認証に必要だとコンサルタントに聞いたんです。
当社ではこのような外部監査は今までやったこともないし、報告書類に目を
通していても、あまり必要性は感じていません」ということでした。
まずはこのシステムから見直しをすることにしました。トップのお話からも
そのリスクの受容はあるが対策にここまでコストを掛けるべきではないという
ことから、外注先調査訪問という外部監査のシステムを全廃しました。
これにより、担当されていた方の担当分の人件費コスト(年間の約1/3が
この仕事にとられていたようです)や訪問等による直接コストが軽減され、
トータルで約150万円近くが削減されました。
結果的に必要だから取組んだシステムなのか、それともISO9001認証に必要だと
誤解(コンサルタントの悪質な指導)しての導入なのか?システムを眺めて
いても分かりませんが、少し入り込んで話を聞くだけで、このような大きな
違いをきっかけに導入しているということが本当に多く存在しているのです。
そして、2点目に「測定機器校正コスト」というのが挙げられていました。
そして、最も多くコストが掛かっていたのが、実はこの「測定機器校正コスト」
だったのです。(次回へ)
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