2006年04月19日
審査機関の顧客はだれ
ISO総合研究所の門田(もんでん)です。
私は常々、ISO9001:2000年版は「品質マネジメントシス
テムではなく、顧客満足システムだ」といっている。
従って、ISO9001のシステムを構築する時に、最初に考えなけ
ればならないことは「当社にとって顧客とは誰か」ということである。
先日、ある審査機関の審査部長さんの話を聞くチャンスがあった。そ
の審査部長さんは「当社にとっての顧客はJABである」と言われて、
あっけにとられた。
私は、ISO9001、特に2000年版は顧客重視といいながら、
「顧客である企業の立場に立ったシステムになっているのか」と疑いた
くなることが、再三あったがうなずける思いまであった。
それではJABは、自分達の顧客は誰だと思っているのであろうか。
チャンスがあったら聞いて、このメルマガで紹介したいと思う。
私は、このISOシステムの顧客も、JABの顧客も、審査機関の顧
客も、このシステムを導入している、または導入しようとしている企業
であると思っている。そうでないと、このISOシステムの存在価値が
ないではないか。
およそ、この世の中で、顧客(天敵)がいない企業は成長しない。顧客
要求に正面から立ち向かい、顧客満足度を向上しようとするところに、
成長があるのではないでしょうか。
皆さんのご意見をお伺いしたいものである。
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以前は、このメルマガも30分程度で一つの記事が書けた。最近は、
ともすると1時間以上かかってしまうことがある。
主に、ホテルでの朝の時間や新幹線の中で書くのであるが、書き始
めるのに、より決断が必要になってきた。
安易に書けるネタか少なくなったのであろうか。
皆さんからの反応がないのも一因か。
それでも自らに鞭打って書いている。
monden : 2006年04月19日 13:14
コメント
ごく最近、ISO総研さんとお付き合いが始まりましたので、せっかくの機
会ですから、多少なりともメッセージを提供しようと思います。
「審査登録機関の顧客はだれ」かということですが、それはISO 9001では認
証登録を受ける企業の(不特定多数の)顧客(広く言えば市場)、ISO 14001で
は地域住民を含めたその企業を取り巻く関係者(利害関係者、広く言えば社会)
です。認証登録を受ける企業が必ずしも顧客というわけではない、と考えられ
ます。
以前は、審査登録機関の顧客は認証登録を受ける企業だ、と考える人が業界
にもたくさんいました(というか、ほとんどそうでした)。ですが、近年はそ
うではない、と考えが少しずつ変ってきています。
確かに審査登録の仕事も、それにかかる費用も、直接的にはその企業から頂
いているわけですから、「頭を下げて仕事をもらい、その対価を払っていただ
ける人(その企業)がお客さん」と考えるのは、直感的に納得しやすいことで
す。
ですが、審査登録は何のためになされているのかと言うと、ISO 9001の場合
は「その企業に製品(サービス)を注文しても、きっちりやってくれ、安心・
信頼・満足でき、取り引きしても大丈夫でしょう」という「お墨付き」(認証
登録)を出すことによって、その企業の(不特定多数の)顧客に(取り引き可
否が)わかる情報を提供するため、です。
同様にISO 14001では「その企業が事業に伴う環境管理をきちんと行っており、
社会の一員として受け入れても大丈夫でしょう」というお墨付きを出すことに
よって、利害関係者(社会)に知らしめるため、です。
審査登録機関にとって「当社にとっての顧客はJABである」というのは、
この考えをさらに発展させて、JABが市場や社会になり代わってその監視役
を務めている、とのことだと思います。
そのように考えると、「当社にとっての顧客はJABである」との見方は、
そんなに否定できるものではないでしょう(ただし、JABにペコペコし、言
いなりになるのがよい、という意味ではありません)。
その企業が顧客だとしてしまうと、審査登録機関(あるいは審査員)はその
企業にペコペコし、媚びへつらい、場合によっては大目に見て、審査登録の客
観性・公平性・透明性・信憑性が失われ、審査登録制度に不信感が募り、審査
登録制度の崩壊につながります。実際、現状では正直なところ、そのような状
況になっています(残念なことです)。
ある監査法人がその「顧客」である企業の監査に手心を加え、一挙に市場や
社会の信頼を失ってしまった事件がありましたが、それと似ています。
以前に業界専門誌の「アイソス」が審査登録機関を評価し、ランク付けの記
事を載せるために、その「顧客」(企業)に対して審査登録機関の(満足度の)
アンケート調査を2回実施したことがありました。
この調査とその結果の公表は、その後、業界のそれなりの方々から批判を受
けました。なぜなら、顧客(企業)が喜ぶような、顧客にとって都合のよい審
査をしてくれる審査登録機関が上位にランクされる、という結果にしかならな
かったからです。
審査登録の真の顧客(市場、社会)のことを何も考えず、「企業と審査登録
機関」という二者しか目に入らない審査登録の図式では、荒廃の道しかありま
せん。
もっとも、審査登録機関は審査の依頼をする企業に対しても姿勢を正した信
頼しうる(納得いただける)きっちりとした審査をし、良質の審査サービスを
提供する必要はあると思います。難しいのは、その兼ね合いと線引きです。ど
ちらに偏りすぎてもいけないわけで、そのあたりに審査登録機関の方針、舵取
り、特徴が出てきます。
(アイソ・ワールド株式会社 辻井浩一 JRCA/CEAR主任審査員)
投稿者 辻井浩一(アイソワールド) : 2006年05月19日 16:14
アイソワールドの辻井です。自分の頭を整理する意味もあって、別の切り口でのお話を紹介します。
審査登録機関が行う審査は、第三者監査とも言われています。内部監査は第一者監査、顧客や利害関係者が企業に対して行う監査が第二者監査です。
ISO9001では企業とその取引先(顧客)(潜在的な取引先も含む)が直接の当事者であり、ISO14001では企業とそれを取り巻く関係者(地域住民・行政・取引先など様々)が直接の当事者です。両方をひとまとめで表現すれば、企業とその利害関係者が当事者です。
この当事者間には利害の対立があり、たとえば品質面をとっても企業と利害関係者では立場が変れば見方も異なるわけです。そこで利害関係者が(ISO9001の場合は取引きしても品質管理面に問題がないか、ISO14001の場合は環境管理面で安心できるかを)監査して確かめるわけです。これが第二者監査です。
ところが市場(ISO9001)も社会(ISO14001)も多岐に亘ると、企業にとってあちこちから監査されては大変ですから、これらの利害関係者になり代わって、当事者ではない(第三者の)機関が、独立した(利害関係のない)立場で、公正な監査をするほうが合理的になります。これが第三者監査です。
第三者監査をするはずの審査登録機関が、監査を受ける企業を顧客扱いすれば、利害関係が生じて当事者になってしまい、上記の構図が崩れ、独立した公正な監査に歪みが生じます(現実にそのような兆候が多々見られると思います)。
いまの審査登録制度には、矛盾や欠陥があると思います。審査登録機関が企業から審査費用をもらわなければ審査登録事業が成り立たず、企業と審査登録機関に利害関係が出来てしまうからです。
(これらのコメントには著作権があります)
投稿者 辻井浩一(アイソワールド) : 2006年05月31日 11:53
この解説から、自動車免許取得の手順が思い出されました。教習所に入所し、一定のコンサルタントを受けた後、行政機関による国家資格を受験し、合格すれば、免許交付されます。今、登録審査機関は、更新・認証登録審査等(コンサルタント的)と認証・登録証交付する、という2つの行為権限を担っています。企業と利害関係があるのに登録証交付とは、認証基準の公平性において、透明性が立証できにくい環境に見えます。ずばり、自動車免許取得のように、最終での交付行為は、法的権限にゆだねられれば理想ですね。
投稿者 和泉強 : 2006年07月07日 09:38
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