ラーメン屋さんでみるISO9001:2015年版規格解釈


今回のブログでは、

ラーメン屋さんでみるISO9001:2015年版規格解釈について書かせていただきます。

 

文字数の制限の関係上、内容としては、

大きく下記の5つの項目をご説明させていただきます。

 

1.リスク及び機会への取組み

2.品質目標及びそれを達成するための計画策定

3.プロセスの運用に関する環境

4.組織の知識

5.内部監査

 

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1.リスク及び機会への取組み

 

まずは、リスク及び機会への取組みからみていきましょう。

 

ラーメン屋さんにおけるリスクとして挙げられたのが、

外食業界における衛生管理について、社会的な目が厳しくなってきたことです。

一時期、メディアを賑わせた賞味期限偽装や中国の工場でのずさんな製造管理、

また、店舗におけるアルバイト従業員の不適切な画像のSNSへの投稿等がその要因でした。

 

一方で、ラーメン屋さんにおける機会として挙げられたのが、

海外からの観光客の増加に伴うインバウンド需要の増加と、

猛暑という気象予報に基づく冷やし麺の売上増加が見込まれることでした。

 

ISO9001:2015年版に目を移してみましょう。こんなことが書いてあります。

6.1.2 組織は,次の事項を計画しなければならない。

a) 上記によって決定したリスク及び機会への取組み

b) 次の事項を行う方法

1) その取組みの品質マネジメントシステムプロセスへの統合及び実施(4.4 参照)

2) その取組みの有効性の評価

 

このラーメン屋さんでは、リスクへの取組みとして、

自店の衛生管理がしっかりしていることを対外的にアピールすることにしました。

店内に掲示するPOP広告で、食品管理と従業員教育をどのようにしているかをPRし、

間違いがないように、運用のルール作りをしました。

その上で、月に1回の実施チェックをおこなうことで、有効性の評価をすることにしました。

 

一方、機会への取組みとして、

2月から新商品のレシピ開発を行うことにしました。

開発スケジュールをたて、モニター調査を行い、本販売までの段取りをおこないました。

その上で、新商品の目標販売数を設定し、有効性の評価をすることにしました。

 

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2.品質目標及びそれを達成するための計画策定

 

次に、品質目標及びそれを達成するための計画策定をみていきましょう。

 

ラーメン屋さんにおける品質目標として挙げられたのが、

美味しいラーメンを熱々のうちに提供してお客様に喜んでもらうことです。

そのためには、アルバイト従業員の技術レベルの均一化が求められました。

 

ISO9001:2015年版に目を移してみましょう。こんなことが書いてあります。

6.2.2 組織は,品質目標をどのように達成するかについて計画するとき,次の事項を決定しなければなら

ない。

a) 実施事項

b) 必要な資源

c) 責任者

d) 実施事項の完了時期

e) 結果の評価方法

 

このラーメン屋さんでは、品質目標を達成するための計画策定として、

時間帯責任者が現在の各アルバイト従業員の技術評価をおこない、

向こう半年かけて不足している部分を補う指導をすることにしました。

結果の評価方法として、半年後に技術テストを店長の前でおこない、

店長がシフトを任せられるかどうかの判定をすることにしました。

 

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3.プロセスの運用に関する環境

 

続いて、プロセスの運用に関する環境をみていきましょう。

 

ISO9001:2015年版に目を移してみましょう。こんなことが書いてあります。

7.1.4 プロセスの運用に関する環境

組織は,プロセスの運用に必要な環境,並びに製品及びサービスの適合を達成するために必要な環境を

明確にし,提供し,維持しなければならない。

 

ラーメン屋さんにおけるプロセスの運用に関する環境として挙げられたのが、

高温多湿の厨房内における熱中症、脱水症状の予防です。

一方で、商品に冷気が直接吹き付けると、熱々の商品を提供するという品質目標と相反してしまいます。

 

この両面を達成するために、このラーメン屋さんでは、スポットクーラーを導入することにし、

そのかわり、スープや盛り付け台に冷気が吹きつけないような仕切りをつけることにしました。

 

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4.組織の知識

 

そして、組織の知識をみていきましょう。

 

ISO9001:2015年版に目を移してみましょう。こんなことが書いてあります。

7.1.6 組織の知識

組織は,プロセスの運用に必要な知識,並びに製品及びサービスの適合を達成するために必要な知識を

明確にしなければならない。

この知識を維持し,必要な範囲で利用できる状態にしなければならない。

変化するニーズ及び傾向に取り組む場合,組織は,現在の知識を考慮し,必要な追加の知識及び要求さ

れる更新情報を得る方法又はそれらにアクセスする方法を決定しなければならない。

 

ラーメン屋さんにおける組織の知識として挙げられたのが、

接客時のお客様からの声の情報の蓄積です。

常連のお客様のご注文履歴や、こんなメニューがないのかというお問合せ、

接客コミュニケーションでお客様に喜ばれたり、逆にムッとされたりした事例の情報などです。

 

このラーメン屋さんでは、引き継ぎノートをタイムカードの横に置いておくことにしました。

アルバイト従業員はシフトに入る前にこのノートを確認し、

また、シフトを上がる時にこのノートに記入することをルール化しました。

 

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5.内部監査

 

最後に、内部監査をみていきましょう。

 

ISO9001:2015年版に目を移してみましょう。こんなことが書いてあります。

9.2.1 組織は,品質マネジメントシステムが次の状況にあるか否かに関する情報を提供するために,あらかじめ定めた間隔で内部監査を実施しなければならない。

a) 次の事項に適合している。

1) 品質マネジメントシステムに関して,組織自体が規定した要求事項

2) この規格の要求事項

b) 有効に実施され,維持されている。

 

このラーメン屋さんでは、毎月1回、スーパーバイザーによる店舗巡回チェックがあるので、

この巡回チェックを内部監査と捉えました。

店舗巡回チェックでは、店舗の外観の清潔感から、アルバイト従業員の接客まで、あらゆる点がチェックされます。

 

ISO業界にはびこる偏見として、規格要求事項の言葉そのままに、最初から最後まで全項目を内部監査において見なければいけないというものがありますが、必ずしもそのようなことはありません。(このブログを読んでいる方からも賛否両論ありそうですが。)監査の目的や監査プログラムがあらかじめ設定されてさえいれば、より実務的な観点に絞って点検することも可能です。

 

上記のような事例をもとに、

貴社のISO9001:2015年版の改訂作業について一度見なおしてみてはいかがでしょうか。


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