いつもご愛読いただき、ありがとうございます。
ISO総合研究所 田中です。
さて、今回はISO14001で考える農作業の環境側面についてご説明させていただきます。
さっそくですが皆さんは今まで農作業したことありますか?
家庭菜園や貸農園が流行っている今、一度は体験されたことがあるかもしれませんね。
私は自宅の裏にある小さな畑を毎週せこせこ手入れをしながら、夏野菜の収穫を楽しんでいます。
今回は「農作業をする上で環境にどう影響があるか」をISO14001の環境側面に焦点を当てて考えていきたいと思います。
それでは、「JIS Q 14001:2015 環境マネジメントシステム-要求事項及び利用の手引き」で環境側面にどのような影響があるか説明させていただきます。
6.1.2 環境側面
組織は,環境マネジメントシステムの定められた適用範囲の中で,ライフサイクルの視点を考慮し,組織の活動,製品及びサービスについて,組織が管理できる環境側面及び組織が影響を及ぼすことができる環境側面,並びにそれらに伴う環境影響を決定しなければならない。
環境側面を決定するとき,組織は,次の事項を考慮に入れなければならない。
a)変更。これには,計画した又は新規の開発,並びに新規の又は変更された活動,製品及びサービスを含む。
b)非通常の状況及び合理的に予見できる緊急事態組織は,設定した基準を用いて,著しい環境影響を与える又は与える可能性のある側面(すなわち,著しい環境側面)を決定しなければならない。
組織は,必要に応じて,組織の種々の階層及び機能において,著しい環境側面を伝達しなければならない。
(JIS Q 14001:2015 環境マネジメントシステム-要求事項及び利用の手引き 引用)
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こちらの要求事項では、組織の活動やサービスがどのような影響が発生し、どのように環境に影響を与えているかを把握することが求められています。
携帯業界で例えると、「携帯電話がお客様の手に渡り、廃棄されるまでのライフサイクルを考えていく」、「使用されている物質が環境にどのように影響を与えているかを考えていく」必要があります。
農作業に見る環境側面
まず、農作業の流れを以下に簡単にまとめさせていただきます。
1.雑草を抜き、畝を整える
2.肥料を蒔き、整地を行う
3.種や苗を植える
4.肥料を蒔き、手入れを行い、成長を促す
5.出来た作物を収穫する
6.収穫を終えた作物を次回に備えて整地する
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このような一連の流れで農作業を行います。
ISO14001の観点では、数ある環境影響に対してすべて解決することを望んでいるのではなく、自社で取り組めることを管理していくことが求められています。
では、まず環境に影響を与えること(環境側面)の洗い出しから始めてみます。
■環境に影響を与える事象
1.農機使用による燃料の消費
2.農機使用による排ガスの発生
3.農機使用による騒音の発生
4.農機使用による振動の発生
5.農機使用による燃料漏れの発生
6.籾殻の堆肥化
7.井戸水の使用
8.寒冷紗の使用
9.農薬・肥料の散布
10.農機洗浄による水の消費
11.農機洗浄による汚水の発生
12.資材(ホース等)の消費
13.雑草の廃棄
などが考えられます。
環境の観点では様々な環境に影響を与えていますが、その中でも特に取り組まなければいけないと特定することを「著しい環境側面」と言います。
上記の中から著しい環境側面を3点考えていきます。
1)環境に影響を与えている重要な環境問題の中に“水の使用”が上げられます。
栽培する観点でも水を大量に消費します。
これは環境の観点では天【然資源の枯渇】に影響を与えるものとなります。
2)“農薬・肥料の散布”が考えられます。
法律上、人体に害のある農薬・肥料の使用は禁止されています。
ホームセンターなどで販売されているものは、もちろん国の認可を得ているものなので、問題はありませんが、その中でもやはり農薬の使用には敏感な風潮にあります。
環境の観点で【土地】に影響を与えるものとなる無農薬の野菜などが流行るのも納得ですね。
3)籾殻の堆肥化についてです。
一見影響があるのか?と思いがちですが、堆肥することにより本来なら捨てるはずだったものを有効に使用できるという利点があります。
側面でいうと【有益な環境側面】という位置づけで取り上げることができます。
このように、農作業の中でも著しい環境側面は人知れず影響を与えていることがわかります。
この洗い出した環境側面にどのように対応していくべきかが問われています。
まとめ
たかが農作業、されど農作業。
世の中影響を与えるものであふれかえっています。
小さなことからでも取り組めると今よりよくなるかもしれませんね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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