小説で解説!個人情報漏えいについて ~『バタフライ・エフェクト』最終回~


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ISO総合研究所Pマーク(プライバシーマーク)コンサルタントの上岡沙奈恵です。

さて本日のブログは少し趣向を変えまして、小説仕立て第四弾です。
今回でおしまいで、いわばこれまでの解決編となります。

■第一弾はこちら↓
小説で解説!個人情報漏えいについて ~『バタフライ・エフェクト』Vol.1~
■第二弾はこちら↓
小説で解説!個人情報漏えいについて ~『バタフライ・エフェクト』Vol.2~
■第三弾はこちら↓
小説で解説!個人情報漏えいについて ~『バタフライ・エフェクト』Vol.3~

今回も普段のブログよりも身近な例として、個人情報が漏えい(社外に情報がもれてしまう)や毀損(個人情報の一部が壊れて完全でなくなってしまう)滅失(個人情報が全部なくなってしまう)などの事故があった場合、

・個人情報の本人にはどんな悪い結果が起きるのか?
・どうすれば起きなかったのか?

を感じていただけるようになるかと思います。

どうか最後までお楽しみいただければ幸いです。

『バタフライ・エフェクト』最終回

これまで忘れていた、なにか悪い予感というものが顔を出す瞬間がある。
例えば眠りにつく瞬間であるとか、夕飯をつくるために台所に立つ瞬間であるとか……。そうした瞬間に思い出されるのはいつも先夫のことだった。

写真など捨ててしまったので記憶の上では遠い。特徴のない顔と声をしていた。恋愛結婚だったが、1年半後には私から別れを切り出した。
理由は些細なことの積み重ねだったが、それが積み上がることには生活の一部は破綻していた。結局「性格の不一致」で離婚した。

悪い予感や思い出としてその人が思い浮かぶことには理由があった。
離婚した、という一言からはにじみ出ないが私達は結婚生活の最後に離婚すべきか、少し離れれば落ち着くのではないかそんな争いを醜くも行ったのだ。

私は断固として離婚を推したが、彼は何が何でも契約を続けようといった。
結局は調停人に頼み、私の言い分が通った。彼は最後に「君の幸せになるなら」と押印をした、……。

最後に会ったのは、余所余所しい調停センターだったか。とにかく、悪い何かと彼とは直結している。

中井圭一がその報告書を書き上げたとき、果たして自分は一ノ瀬陽一にその報告書を提出すべきか否か悩んでしまった。
結果として、彼の憶測は正しかったのだ。いやそれ以上に。

陽一の妻は現在、西川茉莉という。
この詳細手順はわからないが、彼女は役所に離婚届の提出を行い、一ノ瀬陽一との婚姻契約は解かれ、今は西川姓で生活を行っているのだ。
結婚生活は事実婚としてではなく、戸籍上も婚姻は行われている。これは新しい戸籍が作成されていることから知れたのである。

この事実を陽一は耐えられるのだろうか。そうした不安が圭一の心によぎるのと同時に「果たしてこの失踪事件は本当に失踪事件なのか」という疑念も湧いてきた。

つまりこれは正式に離婚した相手をストーカー気質の男が突き止めようとしているだけなのでは?という。
知らぬ間に犯罪の片棒を担ごうとしているのではないか。
そう考えると圭一の手は、一ノ瀬陽一への結果報告連絡ができなくなるのである。

そうして中井圭一が報告の義務と社会通念というべき直感とで惑っている合間に一つの事件が起きた。

この事件というのが藤堂ゆりのSNSメッセージから端を発した事件であり、中井圭一の直感の正しさを現す事実である。

というのも一ノ瀬陽一が独自に西川茉莉の現住居を突き止め、その家に襲撃したというものである。

これだけでは先夫とのいざこざと捉えられるかもしれないが、そのとき西川茉莉の発した言葉は
「あなたは誰ですか」
というものだった。

この言葉を事件の解決した後聞いた中井圭一は探偵業をたたむ覚悟をした。また、失踪事件はやはり取り扱ってはならないと。

同窓会の幹事からの連絡というのは私の気を重たくさせた。ここ最近の話題はすべて一ノ瀬さん?水島さん?の事件についてだった。
事件、というともう一気にしんどくなる。仮に最初の発端が自分だったとしてもその結果を見せてほしくなかった、という気分になる。

茉莉さん(とあえて今はいう)は一ノ瀬陽一というストーカー被害にあっていた、というのである。ただ本人は気がついていなかった。それが例の襲撃事件で露呈するのだが。
一ノ瀬陽一は前の夫の友人だったらしい。たまたま、前夫と同じ名字の赤の他人。ただ本人に面識はない。突然の来訪に発した言葉に彼は激高、その怒声に近所の人が通報したため大事には至らなかったという。

一ノ瀬陽一は茉莉さんのことをほとんど知らなかった。

結婚式のときの写真と、友人(つまり前の夫)がSNSに投稿したデート写真から彼女に恋をした。
いたずら心から彼女の写真と名前でSNSに登録した。そこに連絡をしたのが私だった。
実家がわかると歯止めが効かなくなった。

「探偵を使ったりしていたらしいよ」

という話も聞いたが、何を聞いても自分のせいという意識が拭えなかった。
茉莉さんが落ち着いた頃になって一言わびたいと幹事を通じて連絡すると、彼女は以外にも快諾してくれた。

「少しも気にしていないわ。藤堂さんがそんな、すべての責任を負っているように思わなくっていいのよ。それに、ストーカー被害に遭うなんて思ってなかったし……小説みたいよね」

日曜日の午後のカフェで久しぶりに会った彼女は、記憶の中にあるよりも落ち着いていて、少し所帯じみていた。

「藤堂さん」

再会し、謝罪のために顔を伏せた自分を呼ぶと茉莉さんは福福しい微笑みを浮かべた。午後らしいほほえみ。

「そうね……こういう小さなきっかけから、大きな変化に繋がること、何ていうか知っている?」
「いいえ。知らない」

少し胃が痛い自分に、アイスコーヒーは軽やかな音を立てる。

「映画で見たの。バタフライ・エフェクト、というのよ」

プライバシーマーク(JISQ15001:2017)A3.4.2.7

プライバシーマーク(JISQ15001:2017)A3.4.2.7には、本人に連絡又は接触する場合の措置には、組織は,個人情報を利用して本人に連絡又は接触する場合には,本人に対して,A.3.4.2.5 のa)~f) に示す事項又はそれと同等以上の内容の事項,及び取得方法を通知し,本人の同意を得なければならない。

ただし,次に掲げるいずれかに該当する場合は,本人に通知し,本人の同意を得ることを要しない。

a) A.3.4.2.5 のa)~f) に示す事項又はそれと同等以上の内容の事項を明示又は
通知し,既に本人の同意を得ているとき
b) 個人情報の取扱いの全部又は一部を委託された場合であって,当該個人情
報を,その利用目的の達成に必要な範囲内で取り扱うとき
c) 合併その他の事由による事業の承継に伴って個人情報が提供され,個人情報を提供する組織が,既にA.3.4.2.5 のa)~f) に示す事項又はそれと同等以上の内容の事項を明示又は通知し,本人の同意を得ている場合であって,承継前の利用目的の範囲内で当該個人情報を取り扱うとき
d) 個人情報が特定の者との間で共同して利用され,共同して利用する者が,既にA.3.4.2.5 のa)~f) に示す事項又はそれと同等以上の内容の事項を明示又は通知し,本人の同意を得ている場合であって,次に示す事項又はそれと同等以上の内容の事項を,あらかじめ,本人に通知するか,又は本人が容易に知り得る状態に置いているとき(以下,“共同利用”という。)
- 共同して利用すること
- 共同して利用される個人情報の項目
- 共同して利用する者の範囲
- 共同して利用する者の利用目的
- 共同して利用する個人情報の管理について責任を有する者の氏名又は
名称
- 取得方法
e) A.3.4.2.4 のd) に該当するため,利用目的などを本人に明示,通知又は公表
することなく取得した個人情報を利用して,本人に連絡又は接触するとき
f) A.3.4.2.3 のただし書きa)~d) のいずれかに該当する場合

と規定されています。ちなみにA.3.4.2.5のa)~f)とは

a) 組織の名称又は氏名
b) 個人情報保護管理者(若しくはその代理人)の氏名又は職名,所属及び連
絡先
c) 利用目的
d) 個人情報を第三者に提供することが予定される場合の事項
- 第三者に提供する目的
- 提供する個人情報の項目
- 提供の手段又は方法
- 当該情報の提供を受ける者又は提供を受ける者の組織の種類,及び属

- 個人情報の取扱いに関する契約がある場合はその旨
e) 個人情報の取扱いの委託を行うことが予定される場合には,その旨
f) A.3.4.4.4~A.3.4.4.7 に該当する場合には,その請求等に応じる旨及び問合せ
窓口
g) 本人が個人情報を与えることの任意性及び当該情報を与えなかった場合に本人に生じる結果
h) 本人が容易に知覚できない方法によって個人情報を取得する場合には,その旨

というものです。

4作通じてお伝えしたかったのが“少しの注意で大きな事故を防げる”というものです。

個人情報について問い合わせがあったときには「本人かな?」という確認をする必要があると前に書きましたが、そうした小さくて当たり前な活動を行っていただくことで「個人情報の漏洩のリスク」というのは防ぐことができます。

今回の小説でしたら藤堂さんがほいほい茉莉さんの(個人情報ではなかったとしても)情報を話さなければ事件が起きるリスクは少なかったかも知れません。

皆さんはぜひとも自社のルールや「当たり前なこと」を守って個人情報に関する事故を防いでいきましょう!

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